新川ジュエリー|SHINKAWA

金地金の歴史 / 文化 / サステナブル

History of Gold Bullion / Culture / Sustainability

素材特性

金属の中で有色金属は銅と金だけです。金は他の金属と溶かし合わせることにより、様々な色調の合金を作ることができ、それらは特にジュエリーに活用されています。また、金は化学的な性質にも優れているだけでなく、極限の薄さの金箔や電子部品の極細線等に代表されるように加工性にも富んだ素材です。そのような特性を活かしたジュエリーも研究・開発が進んでいます。

錆びない

金属は空気や水に触れると酸化して錆びが出ることがありますが、金は酸化しないので、変わらずに綺麗な状態であり続けます。

化学物質に反応しない

金はほとんどの化学物質に反応しません。王水*3には反応し溶けてしまいますが、それ以外にはほぼ反応しません。

展延性に富んでいる

非常に薄い金箔が存在するように、1gの金は約3,000mもの長さに伸ばせます。展延性*1の高さは加工のしやすさに繋がり、ジュエリーなどの繊細な加工にも古くから重宝されてきました。しかし、純金(K24)は柔らかすぎるため、ジュエリーにはK18やK14といった合金が多く使用されています。

色展開のしやすさ

金合金は割金*の素材や割合で色のバリエーションを自在に作ることが可能です。

イエローゴールド

金、銀

ピンクゴールド

金、銅

ホワイトゴールド

金、銀、銅、パラジウム

比重が高い

金の比重は「19.32」と金属の中でも高いのが特徴です。比重が大きくずっしりと重厚感を感じられる素材です。

19.32

10.49

8.93

7.87

比重(g/c㎥)

注釈一覧 

*1 展延性: 物質に引っ張る力を加えた際に変形する能力。/*2 割金: 貴金属を目的の品位にし、硬さや加工性を調整し、金においては色調を作るために添加する金属。/*3 王水: 塩酸と硝酸1:3の混合液、強力な酸化溶解性を持ち、通常の酸では溶けない金、白金などの貴金属を溶解する。

精神性

金はいつからどのように地球上に存在したのか、実はまだ解明されていません。しかし金は、長い歴史のなかで人類を魅了し、あらゆる文明に密接に関わってきました。物理的な美しさだけでなく、心理的に人々を惹きつけてきた魅惑の素材なのです。

神=太陽=金

金は、紀元前6000年から人類と関わり続ける素材です。
あらゆる文明において太陽は神を意味する光でした。一際輝く金は太陽を象徴する素材として崇高に扱われるようになります。

BC6000

人類と金の歴史の始まり

金に関する世界で最も古い逸話はメソポタミア文明にまで遡り、この時期に作られた金の装飾品が世界最古の金製品だと言われている。

BC5000

トラキア人が作った文明「黄金文明」

現在のブルガリアにあたる地域に、トラキア人と呼ばれる人々が存在し、黄金の仮面、指輪、王冠など様々な黄金製品を作っていた。

0

漢委奴国王印

漢委奴国王印(かんのわのなのこくおういん)は、1784年に福岡県の志賀島の農民が偶然発見した 金印である。この金印は、中国の皇帝光武が西暦57年(弥生時代後期)に現在の福岡平野一帯に存在した、奴国の王に授けられたと考えられている。

BC3100

古代エジプト文明と金

古代エジプト文明において、人々は太陽神ラーを最高の神として信仰していた。この太陽信仰において、金はラーの身体の一部とされていたため、金は宗教上の非常に重要な意味を持つアイテムであり、祭祀や呪術、王族の儀式には欠かせないものと考えられていた。

AC1600

日本の黄金伝説

ヴェネチアの商人マルコ・ポーロは、著書『東方見聞録』で、日本を黄金の島と称してヨーロッパの人々に伝えた。

二度の大戦をはじめとする世界情勢の悪化や、オイルショックやリーマンショック等の経済危機において金相場は顕著に上昇を続けてきた。近年では世界を襲ったパンデミック、さらには長期化する戦争・紛争の影響により金の価格高騰に歯止めがかからない状況になっている。
世界が大きな危機に直面すると、金は投資の強い対象となり、将来への保険として保有される。
これらの現象から、金相場がいかに人々の心理状態と密接に関わり、金という素材が資産としての揺るぎない地位を築いているのかが分かる。

持続可能性

とめどなく価格高騰を続ける金は、ますます人々の日常から遠く離れていっています。一方で、技術の発達により、金は循環され永遠に姿形を変え続けることのできる素材に なったことも事実です。地球の奇跡で生まれた限りある魅惑の素材は、次世代へと受け継いでいくことが可能なのです。

金の回収・精錬サイクル

A

貴金属回収

電子機器などの工業用スクラップ、工場の廃液、貴金属ジュエリーなどから貴金属を回収します。

B

分別

使用済み金属は、一般家庭や事業所から回収された後、リサイクル施設で種類ごとに分類されます。

C

粉砕

大きな金属製品は、破砕機や粉砕機を使用して小さな断片に分解されます。

D

王水溶解&還元

貴金属ジュエリーや、工業用スクラップなどは、王水に投入されます。金は粉末状になり、溶液は濁り水のようになります。

E

ろ過&洗浄

溶液に析出した金粉をろ過します。この金粉には、還元剤が残っているので洗浄を行います。

F

乾燥

この金粉は洗浄後、乾燥させます。金粉はさらさらになり、この段階では純度が99%~99.9%となります。

G

溶解

金粉を溶解する為に装置に投入し、約1200℃まで温度を上げます(金の融点は1064.18℃)

H

冷却

溶融した金は、装置の中で冷却され、米粒の半分くらいの均一な粒子(ささぶき)になります。

I

鋳造

金の粒子をさらに融解して金を結晶化することで、さらに純度を高め、鋳型で固めて金塊をつくります。

J

検査&刻印

完成した金塊はひとつひとつ高い精度で検査・計量され、刻印が押されます。

注記一覧

*析出:液状の物質から結晶または固体状成分が分離して出てくる現象。