~電気を宿す宝石 - トルマリンの不思議~
10月の誕生石といえば、オパール。
そしてもうひとつ、忘れてはならない宝石がトルマリンです。
トルマリンの魅力は、なんといってもその豊かな色彩。
深く神秘的なインディゴブルー、可憐なピンク、森を思わせるグリーン。
そして、まるでスイカを切ったようにピンクとグリーンがひとつの石の中に現れるウォーターメロントルマリンなど、自然が描いたとは思えないほど多彩な表情を見せてくれます。
「トルマリンには、ない色がない」といわれるほどです。
そんな美しいトルマリンには、もうひとつ不思議な顔があります。
和名は「電気石」。
その結晶は、熱を加えたり圧力をかけたりすると電気を帯びる性質を持っているのです。
宝石なのに電気を宿す――そう聞くだけでも、どこか神秘的ではないでしょうか。
日本では一時期、この性質から「マイナスイオン」という言葉とともに大きな注目を集めました。
アクセサリーとして身につけたり、お風呂に入れたり、さらにはご飯と一緒に炊いたり。
健康を願う暮らしの中にまでトルマリンが登場し、ちょっとしたブームになった時代を、懐かしく思い出される方もいらっしゃるかもしれませんね。
科学で説明できる「電気石」という一面と、
人々がそこに感じた「何か不思議な力」。
考えてみれば人は昔から、自然が生み出した石に、ただ美しいだけではない何かを感じ、
身につけ、祈りや願いを託してきたように思います。
大切なジュエリーを身につけると少し元気になったり、美しい色を眺めて心が和んだり。
大切な方から贈られた宝石を見るたびに、その人を思い出して力をもらったり。
それもまた、宝石が私たちに与えてくれる不思議な力なのかもしれません。
そして、私が天然の宝石に胸をときめかせる理由は、もうひとつあります。
私たちの知らない、何千万年、何億年という時の彼方。
地球の奥深くで、熱や圧力、さまざまな自然の営みの中から生まれた一粒の宝石。
その小さな石の中に、自分が生まれる遥か以前から続いてきた地球の記憶が宿っていると思うと、今でも胸がときめきます。
しかもトルマリンは、その悠久の時の中で、こんなにもさまざまな色を生み出しました。
インディゴブルー、ピンク、グリーン、それとも、スイカのように色が重なったウォーターメロントルマリン?
同じトルマリンでも、心惹かれる色は人それぞれ。
自然がつくった「電気を宿す石」。
科学と神秘、悠久の時、そして人の想いが重なり合うところに、トルマリンという宝石の尽きないロマンがあります。
あなたの好きなトルマリンは、何色ですか?